サハリンの鉄道は広大なロシアで唯一1067mm でした。それらは日本統治時代に作られました。
ロシアの規格である1520mmへの改軌工事は2018年を予定していましたがロジスティクスへの影響の心配から1年延期され、2019年夏行われました。2019年9月、改軌工事は完了しました。
しかしまだ間に合います。2019年9月現在、1067mmで存続している区間が2か所あります。改軌工事の対象から外された路線です。
改軌工事の対象から外された路線が3つあります。ひとつはブイコフ線で2019年5月31日に既に廃止されました。残りの2つの区間は11月まで存続しています。
1067mmで存続している区間の2つの内、
1つはユジノサハリンスク近くの枝線で、ダーリニエからナヴァヂリンスカヤ。ダーリニエはユジノサハリンスクから1駅目です。
もう1つはホルムスク付近、パリャーカバ – 77km pk9の区間です。
両方とも旧南横断線の一部区間です。
前回、ナヴァヂリンスカヤには乗車しました。
Sakhalin 1067mm locomotives built under USSR going to be scraps and a history.
今回はホルムスクの方にある77kmに乗車します。
- 路線図
ホルムスク付近の路線図はこんな感じ。
ホルムスク北駅はホルムスク市内で最も大きな駅です。ホルムスク南駅(日本時代の真岡駅)は現在はホームだけの駅です。この1駅隣に、1067mmと1520mmの乗換駅、Поляково パリャーカバ駅があります。
ユジノサハリンスクからバスで来る場合は、ホルムスク南とホルムスク北駅の中間あたりにバスターミナルがあります。鉄道駅とバス駅(アヴトバグザール)は位置が連携していません。
パリャーカヴァ
2019年8月18日、トマリ駅から広軌化が完了した列車に乗りこみます。トマリから2時間45分でパリャーカバに到着しました。ここで狭軌の列車に乗り換えます。
新式のТГ16Мと旧式のТГ16。この2両が同時に並んで撮影できるのは最後でしょう。
サボは厳密さを重視していないようです。
厳密にはПоляково – 77км ПК 9 駅ですが、Холмск Николайчук になっています。Николайчукは77kmの1駅手前です。
出発5分前にはなっていませんが、車掌がとっとと乗れと急かします。撮れるだけ撮影してから列車に乗り込みます。
2両ありますが客は片方にしか乗れません。ロシア国鉄らしさがあります。と言っても客はそう多くはありません。ほとんどは老人です。
出発後、海岸沿いをしばらく走ります。ここは広大な車両置き場跡らしいですが、今は廃車が放置されています。
沿岸からそれて、山の方へ、南横断線へ入っていきます。
しばらく走ると右手にダム湖が見えます。
тайное (Taynoye )という名前です。晴れていると綺麗です。
Николайчук駅です。パリャーカバから6km。
xx kmという駅は乗降所のようなものですが、ここは駅です。駅と言ってもたかが知れています。
77km駅
パリャーカバ出発から22分後。列車は雑草の途中みたいな場所で停車します。
終点の77km駅に到着したようです。狭軌現存区間は7km。平均速度は30km/hも出ていません。
窓の右手には草に浸食された小さな集落と家々があります。
右手にホームがあるのかと思いきや、車掌は左側のドアを開けます。
ドアが開いた瞬間、
ヤバい駅が来たぞおい。
最高に秘境駅。期待していたレベルを圧倒的に超えています。線路は自然の浸食を受けて現役のはずがすでに廃止のオーラが漂っています。まあ本当に廃止されるんだけどね。
なんで今まで来なかったんだろう僕は。日本からこんな近くにこんな上物の駅があったというのに。
1両分のホーム長すらない、降りるドアの部分だけしかコンクリが無いです。77km駅の簡素さは殆ど電停レベル。
時刻表は更新せずそのまま放置しています。
駅から出るためには、列車の横の線路内を歩かないと出られません。体一つ分くらいしか幅が無いです。いや、体一つ分もないかもしれない。ここまでの列車の近さはこれまで見たことがありません。
ユジノサハリンスクまで横断する南横断線だった鉄路。ここを歩いて地元のおばあさん達は去っていきます。利用者は10人程度だったと思います。
終点を示す標識は錆びています。しかしこの標識が役目を終える日は近いです。
折り返しの列車でホルムスクへ戻ります。
回りの集落からちらほらと住民がやってきます。たった14分の停車時間。僕は14分を忘れることは無いでしょう。
ありがとう77km。
パリャーカバ バス
早朝の返しの場合、ホルムスク街中への路線バスが待機しています。77kmから来た列車との接続を取って速攻で発車してしまうので、パリャーカバであまりのんびり撮影できないです。
バスを諦めて気合で移動すれば、この駅でTG16をのんびり撮影できます。
私はそうしました。
廃止日
77km
77km廃止は運転士に聞いたところ、11/1とのこと。
http://pass.rzd.ru/timetable/public/en?STRUCTURE_ID=704&layer_id=5369&refererLayerId=5366&node_id=19
しかし気になるのは、上のRZD時刻表で Николайчук で検索してもなんだか12月以降の時間が出てきます。また、トマリ発の1520mmの列車が、ホルムスク北駅止まりとなってしまっているのも気になります。パリャーカバまで行かないのかしら?
日本国内の路線みたいに正確な日程が分かりづらい…
それはそれとして本当に素晴らしい駅なので、走ってる間に是非!
ナヴァヂリンスカヤ
ナヴァヂリンスカヤ支線はユジノサハリンスクからアクセスしやすい上に魅力的な路線です。11/11廃止と車掌は言っていました。
http://pass.rzd.ru/timetable/public/en?STRUCTURE_ID=704&layer_id=5369&refererLayerId=5366&node_id=19
ここに НОВОДЕРЕВЕНСКАЯ と入れて検索すると、11/10までの便は出ますが、11日以降は出ません。
こちらの廃止日は確定的のようです。
おわりに
潰れる前に来て良かったです。ナヴァヂリンスカヤも凄いですが、こちらのエモさは明らかに格上です。
アクセス性はかなり低いですが、ユジノサハリンスクからバスを利用するか、北部横断線を利用すれば訪れることができます。
距離的には日本からそう遠くありません。電子ビザを利用すればビザ代金はかかりませんし4日で出ます。
ぜひ雑草の中の駅を味わってみてください。
2019年 Old Railway Yuzhno-Sakhalinsk to Kholmskへ行く前に!見どころをチェック – トリップアドバイザー